パックご飯などの加工米飯や米粉、伝統的な調味料といったお米加工品の魅力を解説します。日本の食文化を支えるお米加工品の特徴とメリットを見ていきましょう。
お米は食卓に並ぶつややかな白いご飯以外にも、さまざまな形で私たちの食卓に彩りをもたらしています。代表的なお米の加工品は、お餅や味噌、酢などがあり、パックご飯も加工品に含まれます。
今回は、多種多様なお米の加工品を把握し、それぞれがもつ特徴やメリットを見ていきましょう。
お米の販売動向
令和5年10月からお米販売量は前年比を超え、安定的に推移していることが特徴的です。特に、令和6年3月には赤線で示される販売量が110%以上を記録し、その後も100%前後の高い水準を維持しています。
販売増加の要因の1つとして挙げられるのが、米飯加工品です。単身世帯や共働き世帯、高齢世帯の増加により、手軽に準備できる米飯加工品のニーズが高まっています。
お米の加工品1.加工米飯
加工米飯は保存性が高く、手軽においしいご飯が準備できるため、近年注目されている加工品の1つです。
無菌パックご飯
炊きたてのご飯を密閉容器に入れ、無菌状態で包装したもの。常温・長期保存が可能で、電子レンジで温めるだけで食べられる手軽さが特徴です。
以前よりも食感や食味が格段にアップし、ブランド米も続々と進出しています。また、健康志向の方に向けた玄米パックご飯もラインナップされるなど、今後さらなる発展が期待できる加工品です。
冷凍ご飯
調理済みのご飯をマイナス40℃以下で急速冷凍し、お米のおいしさを損なわず保存した加工品です。電子レンジやフライパンで簡単に調理でき、炊きたてのような食感を再現できます。
スーパーの冷凍コーナーには、チャーハン・焼きおにぎり・ピラフなどさまざまな冷凍ご飯が並んでおり、毎日の食事を手軽に異なる味わいで楽しめることが大きな魅力です。
レトルトご飯
調理したご飯を密閉容器(袋タイプ)に入れ、加熱殺菌したものがレトルトご飯です。湯せんでの調理方法が一般的ですが、温めなくてもおいしく食べられます。
レトルトご飯は電力や火力などを使用せず食べられる加工品米飯で、災害時の非常食としても広く活用されています。
お米の加工品2.お餅
お餅は日本の伝統的なお米加工品で、もち米を蒸し、ついて作られます。お正月やお祝い事では欠かせない食品として親しまれています。
切り餅・丸餅・草餅など種類も豊富で、焼いたり汁物に入れたり、多くの調理方法で飽きずに食べられることが特徴です。
お米の加工品3.粉状のもの
お米を粉状に粉砕した米粉は、最近よく見聞きする加工品です。しかしその歴史は古く、奈良時代から食品に使用されるようになったといわれています。
現代の米粉は製粉技術の発展により、細かく粉砕することが可能になり、パンや洋菓子にも用いられるようになりました。米粉となる原料は主に、うるち米ともち米。この2種類についてご紹介します。
うるち米の米粉
うるち米は普段食卓に並ぶお米です。うるち米を原料にした米粉は、上新粉や乳児粉があり、細かく粉砕することによってパンや麺を製造できる米粉になります。
- ・上新粉:だんご、大福もちなどの和菓子
- ・乳児粉:乳児色、重湯
- ・細かく粉砕した米粉:小麦粉の代替品として、パンや麺、クッキー
上記に限らず、うるち米の米粉は幅広く使用できる加工品です。
もち米の米粉
もち米は炊いて使用するうるち米に対し、蒸して調理するお米です。米粉では白玉粉、もち粉、道明寺粉などが有名です。
- ・白玉粉:大福、白玉だんご
- ・もち粉:もなかの皮
- ・道明寺粉:おはぎ
もち米は、昔ながらの米粉として多くの和菓子に使用されています。
お米の加工品4.調味料やお酒
お米は調味料やお酒(清酒)としても、食卓の味に彩りを添えます。代表的な調味料は味噌・酢・みりん・お酒で、いずれも製造過程で発酵が必須です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
米味噌
味噌は大豆に米糀を混ぜ、発酵させることにより製造されます。家庭の食卓にも深く浸透しており、甘み・深みが特徴です。
味噌汁やおでんのタレ、味噌煮など料理の幅を広げられます。
米酢
酢はまず、酢酸菌でお米を発酵させます。次に、酢酸菌によってお米のでんぷんがすっぱさを感じる「酢酸」に変わり、酢ができあがります。
お米独特の甘みや口当たりのよさが特徴で、お寿司やドレッシング、南蛮タレへの使用が一般的です。
みりん
みりんは、蒸したもち米に米糀と焼酎を加えて製造します。みりんは煮物に使用されることが多く、白砂糖の代替品とする方もいます。
スーパーで見かける「みりん風調味料」は水あめを使用しており、本格的なみりんを求める場合は「本みりん」を選びましょう。
清酒
清酒はうるち米まいと米こうじが主な原料で、日本特有のアルコールを含んだ飲み物です。麹菌、酵母菌によってお米が発酵し、アルコールができあがります。
清酒は料理はもちろん、嗜好品の「お酒」としても楽しめます。醸造酒や純米酒があり、それぞれの製造プロセスによって味やコク、風味が変わることが特徴です。
まとめ
お米の加工品は、日本の食文化を豊かにする食品です。保存性の高い加工米飯から伝統的な調味料まで、その種類は多岐にわたります。
現代の多様な食のニーズに応え、食品ロスの削減や非常食としても重要な役割を果たしており、今後もさらなる発展が期待できるでしょう。