お米は明治時代から品種改良を重ねられ、今では毎年新しい品種が生まれています。
大昔から日本人の主食として親しまれてきたお米ですが、どんな歴史を持っていてどんな種類が現在あるのか案外知らない方も多いのではないでしょうか。
身近でありながら改まって学ぶ機会のないお米の品種改良の歴史について今回はご紹介します。
□品種改良のルーツ
少しでも美味しく、少しでも冷害に強いお米を、とたくさんの人が品種改良に努めましたが、本格的な品種改良で有名なものに「亀の尾」があります。
明治30年に阿部亀治が山形県で、それまでのものより風圧と冷害に強く早くみのる品種を開発しました。
この「亀の尾」はササニシキやひとめぼれといった現在も人気の品種のルーツになっています。
□品種改良技術の進歩
「亀の尾」が開発後に日本で品種改良が広く本格的に行われるようになりました。
優れた株を探して選別し、その種を栽培してさらに選別を重ねることで改良を進めるそれまでのやり方から、人工交配の方法が使われるようになったのがこの時期です。
前者の方法では狙った特性を残す手段がなく効率が悪かった点が改善され、品種改良がより効果的に行えるようになりました。
世界で初めて人工交配に成功した日本人である加藤茂苞(しげもと)が25年かけて開発したこの方法は「交雑育種法」と呼ばれます。
彼は多くの新種を生み出し、「品種改良の父」と言われています。
□品種改良で生まれた代表的な種類
そうして進化してきたお米の品種改良は現在でも交雑育種法を主流に開発が進み、全国で300品種の栽培が行われるまでになりました。
その中でも品種改良で生まれ、現在広く好まれている品種をいくつかご紹介します。
*コシヒカリ
代表的な品種である「コシヒカリ」は、昭和19年に品質も味も良い「農林1号」と、いもち病に強い「農林22号」を掛け合わせて生まれたものです。
コシヒカリには茎が弱く倒れやすかったり、いもち病に弱かったり、難点も残っていました。
しかし品質の良さと美味しさで東北と北海道を除いて、広く今でも生産されています。
全国作付面積が30年連続一位を獲得するなど、美味しいお米の代表と言えるのではないでしょうか。
*あきたこまち
コシヒカリと病気や冷害に強い「奥羽292号」を掛け合わせてできたのがあきたこまちです。
コシヒカリに残った欠点を解決するための品種改良の末に開発され、コシヒカリに負けず人気の品種です。
*ひとめぼれ
コシヒカリと並んで、日本古来の品種をルーツにもつ代表的な品種です。
1980年の大冷害ののち、冷害により強い品種を求めて開発されました。
味の良いコシヒカリと耐冷性の高い「初星」を親にもつ粘りの強い人気の種類です。
□まとめ
今回はお米が品種改良を通してどう変遷してきたかについて少しご紹介しました。
毎日当然のように口にするからこそ、今回の記事をきっかけにお米の歴史の理解を深めていただければ幸いです。